「入社後ギャップ」はなぜ起こる?自己分析で注意すべきポイント3選

PROFILE

  • 大久保 航大
  • プレミアグループ株式会社
  • グループ人財部
  • 西日本人財採用グループ 次長

2019年入社
ファイナンス事業部門の営業を経て採用グループへ異動。
現在は新卒採用責任者を務める。

*プロフィールは取材当時のものです

入社後のギャップはなぜ起こる?

就活生からの質問で多くいただくのが、「入社前後のギャップはありましたか?」というものです。正直なところ、私自身は「気づいたら今」という感覚で、ネガティブなギャップを感じることはほとんどありませんでした。

それは良い意味で、社会人生活に対して“華やかでスマートなもの”といった過度な幻想を持たずに入社したからだと思います。当時の人事が、甘い言葉で勧誘せず、ありのままの厳しさを伝えてくれていたおかげで、「働くことは甘くない」と覚悟が決まっていました。

もちろん、いくら覚悟していたとはいえ、実際の現場は甘くありませんでした。 配属直後に直面したのは、数年上の先輩との圧倒的な実力差。高い視座で結果を出す彼らを前に、何もできない自分の非力さを痛感しました。

営業として現場に出てからは、お客様からも先輩からもお叱りを受ける毎日。それでも折れずにいられたのは、叱咤激励してくれる先輩たちの存在と、「早く先輩たちのように貢献したい」という強い想いがあったからです。

2つのギャップの正体

そもそも、一口に「ギャップ」と言っても、そこには大きく分けて2つの種類があると考えています。

一つは、待遇や社風などが聞いていた話と違うという「環境に対するギャップ」。 これは単なる情報の不一致ですから、本来あってはなりませんし、私たちも採用活動を通じてなくす努力をしています。

もう一つは、「自分自身に対するギャップ」です。 実は、多くの人が躓くのはここです。自分の現在地を正しく把握せず、理想だけが先行してしまっていると、現場で通用しない自分に直面した時、「こんなはずじゃなかった」とネガティブなショックを受けてしまいます。これはいわば、現実を直視できていない「悪いギャップ」です。

しかし、自分の現在地を冷静に理解していれば、話は変わります。 理想と現実の差は、「埋めるべき明確な課題」へと変わるからです。「足りない」と嘆くのではなく、「ここを伸ばせばいい」と前向きに捉えられるようになります。

だからこそ、就職活動における「自己分析」が重要なのです。 それは自分の良いところを探して自信をつけるためだけではありません。

「等身大の自分(現在地)」を客観的に把握し、目指す場所との距離を正しく測ること。

それさえできていれば、入社後のギャップは“想定内の成長痛”になり、迷わず努力できるようになるはずです。

今回は、新卒採用責任者として日々多くの学生と向き合う中で見えてきた、内定のためだけではない、これから始まる長い社会人人生で成長し続けるための『自己分析の本質』を3つお話しします。

1. 自己分析が“自己評価”で終わっていないか?

自己分析をする際に陥りがちなのが、「自分の視点」だけで完結してしまうことです。「自分はこういう人間だ」と深く掘り下げて満足してしまう。しかし、どれだけ一生懸命深掘りしても、それはあくまで主観的な“自己評価”の域を出ません。

「自分が自分をどう見ているのか」だけでなく、「他人が自分をどう見ているのか」に目を向けること。 これが最大のポイントです。

≫ 仕事は他者との関係でできている
具体的に言えば、自分では「リーダーシップがあるのが強み」と思っていても、周囲はあなたのことを「強引で協調性がない」と評価しているかもしれません。

社会に出ると、仕事はすべて「他者との関係」の中で成り立ちます。 お客様、上司、同僚……。周囲があなたをどう認識し、どう評価するかで、任される仕事もキャリアも変わっていきます。この「自己評価」と「他己評価」のズレこそが、入社後にぶつかる人間関係や評価の壁の正体です。

怖いかもしれませんが、勇気を持って第三者に具体的なフィードバックを求めてみてください。そのズレを埋める作業こそが、社会で通用する自己分析の第一歩です。

2. 重要なのは“再現性” ー強みを発揮できる環境は?ー

「私の強みは忍耐強さです」。 面接でよく聞くフレーズですが、これだけでは不十分です。いくら忍耐強いと言っても、24時間365日、どんな理不尽な状況でも忍耐強い人などいません。状況によっては諦めてしまうことだってあるのが人間です。

ここで重要なのは、どんな状況でその能力が発揮されるのかを認識することです。

≫ 企業が見ているのは“再現性”
例えば、同じ「忍耐強い」という強みも、以下のように解像度を上げてみてください。

「単調な作業の繰り返しだと集中力が続かないが、正解のない難題に向き合う時は、答えが出るまで粘り強く考え抜ける」

「自分ひとりのためだと妥協してしまうが、チームの目標達成や誰かのためであれば、苦しい状況でも最後まで踏ん張れる」


社会に出れば、経験したことのない状況の連続です。企業が知りたいのは、「未知の環境下でも、あなたの強みがもう一度発揮されるか」、つまり「再現性があるか」なのです。

「どのような環境なら、自分は輝けるのか」。この視点を持つことは自分の強みを証明するためだけでなく、自分自身が心地よく働ける会社を見極めるためにも不可欠です。

3. 変わっていく自分も受け止める

就職活動は、出会いの連続です。 様々な企業の担当者やOB・OGに出会い、多様な価値観に触れることで、新しい気づきや学びが蓄積されていきます。「もしかしたら、自分はこういう人間なのかもしれない」と、新しい自分を発見する瞬間もあるでしょう。

その時、頭をよぎるのは、机の上でガチガチに作り上げた「これまでの自分像」かもしれません。 「最初に決めた軸と違う」「一貫性がないと思われるかもしれない」と不安になり、以前の自分像に固執してしまう学生もいます。

≫ 常に「最新の自分」へ更新する
時には変わっていく自分を許容する余裕を持ってみてください。 新しい情報に触れて考えが変わるのは、ブレているのではなく、成長している証拠です。これまでの経験を踏まえつつ、常に「最新の自分」へとアップデートしていきましょう。

最後に

私が今もプレミアグループで前向きに働き続けられているのは、最初から完璧なキャリアプランがあったからではありません。 その時々の等身大の自分を受け入れ、目の前の仕事や人との出会いを大切にしてきた結果、今の自分があります。
就職活動は決して苦しいだけの試験ではありませんし、自己分析は今の自分を縛る鎖でもありません。 今の自分を正しく知り、そんな自分を必要としてくれる会社を自らの意志で選ぶための羅針盤のようなものです。

自分と企業のリアルを正しく理解して選んだ道であれば、入社後に直面する厳しい現実さえも、「想定外のギャップ」ではなく、自らの手で乗り越えていける「前向きな課題」になるはずです。
今回ご紹介した3つのポイントが、就職活動を少しでも前へ進めるヒントになれば嬉しいです。 皆さんの就職活動が、未来に希望を持てるものになることを願っています!

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